凡愚な私を御許し下さいませ。

少し　片思いの真似事でもしようとでも思った

それは愚かな利己的な遊びで

此方に来い、と手招きしたは善いものの

次の言葉を言う前に口を噤んでしまった　何を言うかも分からず





「謝れ」

そう言ってくれたら幾らかは気楽になれたんだろうか

無駄な事を言わない性格だと　分かってはいたのに





少し　両思いの真似事をしてた時が在る

それは虚しい心の繋ぎ合いで

欲したが故に強引に互いを食い千切る

気付くのは余りにも遅すぎて　別れの言葉は核を侵食する様に響く





「帰れ」

そう言ったから余計に腹立たしくなってしまったのか

それでも擦れ違う事を恐れて　暗愚な過ちを犯してばかり





一体何が悪かったのか

未だに分からない自分は愚か過ぎて　微笑する

凭れ掛かった壁は何時も通り白くて

私が漏らした嗚咽を　綺麗に響かせて笑う







これで御前を思う事ももう無いだろう